ロシアに対する経済制裁
2023.02.13. | ||
ロシアのウクライナ侵攻が始まってから間もなく1年が経とうとしているが、日本のマスコミの殆どがロシアへの経済制裁なんて何の効果も発揮していないのではないか、等と言い続けている。 日本でロシアとは全く無関係な生活をしていると、経済制裁なんて効果があるの?と言う気分になるのもわからなくもないのだが、ロシアの視点で見ると、全く違うと言うことがわかる。 ロシアのモスクワタイムズという報道機関による報道がネットで見られるのだが、モスクワタイムスという位なので全てがロシア語のために何が書いてあるのかロシア語に無縁のものにはさっぱりわからない。でも、ありがたいことに日本語の翻訳ができるので翻訳をさせてみると、だいたいの意味はわかるようになる。勿論、明らかにこれは誤訳だろう、と言うものもある。瞬時にAIが翻訳したものなので、おかしな表記や誤訳も多々あるのだが、不自然な表記や明らかな誤訳については修正したものを下に記すことにした。 奇妙な表現だが、おもしろいと思ったものはそのままにしてある。 最初は、戦費の調達が優先になったために道路建設の費用の多くが削減になり、困っている様子が書かれている。 道路建設のようなものは、建設費用が100%なければ建設する意味が無い。道路の3分の2しか予算がないと言うことで、野原の真ん中で道路が終わっていたのでは問題だし、今ある予算すらも戦争遂行のためにさらに削減される可能性が極めて高いからだ。 なにしろ、頭のおかしいプーチンという独裁者に圧倒的多数の愚かなロシア人たちは心酔しきっているので、プーチンにとっては何でも思いつくままに好きなことができるという状態だからだ。 「政府は戦費を賄うために道路建設を放棄した 2023/01/23 ロシア政府は、予算を節約するために、大規模な道路建設プロジェクトに資金を提供しないことを決定した。予算の 3 分の 1 は、戦争および法執行機関に支払う必要があるという。 Kommersantによると、地域の新しい建設プロジェクトは、大都市の単一のオブジェクトを除いて、運輸省の新しい 5 カ年計画から除外された。 特に、モスクワ地方のOrekhovo-Zuyevoバイパスプロジェクトはナイフの下に落ちた。最初の建設開始が2025年までに計画されていたものについては、現在は2026年からの設計についてのみ話しており、資金は20.5億ルーブルからほぼ14%削減されて 15億ルーブルに。同様の運命がクラスノダールの南バイパスにも降りかかった。建設は延期され、歳出予算は 19 回削減され 289 億ルーブルから 15 億ルーブルへとなった。 サンクトペテルブルク周辺の第 2 環状道路 (KAD-2) と、カザフスタンの国境からベラルーシに伸びるはずだった子午線高速道路の運命は宙に浮いてしまい、建設計画は無期限に延期されてしまった。設計の時点で153 億ルーブルから 40 億ルーブルとほぼ 4 分の1に南西高速道路 (エカテリンブルグ - サマラ - クラスノダール) の資金調達は削減され、首都圏の主要高速道路を改善する作業は計画から完全に除外された。 ロシア運輸省はコメルサントに、採択された予算法に基づくオブジェクトの優先順位付けを考慮して、5カ年計画が変更されたと説明した。文書によると、連邦高速道路の建設と再構築のコストは、 1740 億ルーブルから449 億ルーブルに大幅に削減された。連邦道路基金から地域への送金は、3750 億ルーブルから 3240 億ルーブルに 14% 削減された。交通システムの開発のための国家プログラムの下での総費用は、1.653 から 1.229 兆ルーブルに 26% 削減された。 同時に、軍隊への支出は、昨年採択された予算法の約 1.5 倍の 5 兆ルーブルに増加した。政府は、内務省、ロシア警備隊、連邦刑務所サービス、および特別サービスの予算を含む「国家安全保障」項目の下で、さらに4.2兆ルーブルを費やす予定。 当局は、「経済の再編成」のために道路プロジェクトを放棄することを決定した、とモスクワ地域の運輸省の公共評議会のメンバーであるアンドレイ・ムホルティコフは説明した。 ロシア財務省のプロジェクトによると、2023 年の予算は 2.9 兆ルーブルの赤字で作成されているが、実際には、「穴」は 4.5 兆ルーブルに達する可能性があると、VTB のアナリストは見積もっていた。 財務省は石油からの収益を急速に失っており、石油は最大 40% の割引で販売する必要がある。 モスクワ・タイムス」 戦争だけではなく、戦争に反対する人々を拘束したり、場合によっては刑務所に収監しなければならないので、そうしたことにも多くのお金が費やされていることがわかる。 アメリカ国防省の発表では、侵略当初に15万人規模の軍隊でウクライナに攻め込んだのだが、これまでの戦闘でほぼ当初の戦力と同数の兵士が死傷したとされている。 お金が足りないだけではなく、戦い続けるための兵員不足も深刻になりつつある。ウクライナの広大な占領地を守るための兵員は絶対に必要なのだが、あれだけの広い地域をウクライナ軍から守り続けるのも容易ではない上に、資金も尽き始めている。 日本のマスコミは、ロシアを支援する国が殆どで、中には英米しかウクライナを援助する国は無いなどと言っているのもいる位だが、これもロシアの側から見るとずいぶん違って見えるようだ。 「中国、トルコ、アラブ首長国連邦は、ロシアの銀行に対する制裁に参加しました 2023/01/31 ロシアが「友好的」と見なす国々は、予想に反して、ロシアの銀行に対する西側の制裁に完全に参加しました。RBCによると、これは火曜日のコメルサント会議で、ロスバンクのアレクサンダー・ラフマニン副総裁によって発表されました。 彼によると、中国、トルコ、アラブ首長国連邦、さらにはカザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、トルクメニスタンなどのソ連崩壊後の共和国の「同僚」は、規制下にあるロシアの金融機関との取引を拒否している。 ロシアを支援したい人々の列が中国に並ぶという期待は無駄であることが判明した。最大の「国家」 - 中国銀行、ICBC、中国建設銀行 - は、下に落ちたロシア連邦からの銀行からの支払いを受け入れることを拒否している。制裁逃れを阻止しているとラクマニンは述べた。 また、これまでの取引を通じて制限を回避できるとは限りません。「(中国の)決済インフラ全体がSWIFTに対応しています。また、ロシアの銀行が、認可された、または認可されていない理由で SWIFT から切断された場合、それに応じて、国境を越えた支払いへのアクセスが停止します」とトップマネージャーは説明しました。 トルコの銀行も制裁を厳格に順守している。彼らは、ブラックリストに載っているロシアの銀行のためにリラで特派員口座を開設することを拒否している。 「ロシアの銀行セクターの大部分が何らかの形で制裁の影響を受けていることを考えると、率直に言って、トルコの銀行と協力する機会があるのは二流の銀行だけです」とラフマニン氏は述べた。 ロシア企業が制裁の制限から逃れようとして大規模な事業譲渡を行っているUAEでも問題が発生しています。地元の規制当局は、「たとえば、ロシアとの取引において米ドルをディルハムに置き換えることを許可していない」とラフマニン氏は述べた。 彼によると、カザフ・テンゲ、ウズベク・スム、キルギス・ソム、タジク・ソマニにも同様の問題があるという。 ウクライナ侵攻に続く制裁の波により、ロシアはブラックリストに登録された法人と個人の数で世界チャンピオンになり、国の銀行システムは世界ののけ者になった。 20 以上のロシアの銀行が西側の制裁対象となり、そのうち 9 銀行 (Sberbank、VTB、BEB、Otkritie、Rosselkhozbank を含む) は SWIFT から切断されました。 大手国有銀行のうち、最近まで、ガス決済のバックボーンとなったガスプロム銀行だけが、ドルとユーロでの決済へのアクセスを保持していました。しかし、1月には、ドル取引が不可能になり、アメリカ特派員口座へのアクセスも失った。 モスクワ・タイムス」 日本では、中国やインドはロシアに便宜を図っているし、カザフスタンなどのかつてソ連を構成していた国々は、全面的にロシアを支持していると思われているが、モスクワ・タイムスの報道では中国もカザフスタンなどのかつてのソ連邦を構成していた国々ですらも銀行間取引に応じてくれないと言うことのようだ。 天然ガスの決済などのために制裁を猶予されていたガスプロム銀行でさえも、ロシアがヨーロッパへの天然ガスを止めたことからSWIFTからはじき出されてしまったと言うことらしい。 モスクワ・タイムスの記事が正確と言うことであるのなら、ロシアは他国との銀行間決済が全く不可能になったことになるわけで、世界中に散らばっているロシアの特派員も大使館員などの公務員も現地での銀行からの活動のための資金も給料の受け取りもできなくなったことになる。すると、考えられる対処としては、毎月、給料日が近づいたり、活動のための資金が必要になるたびにモスクワから世界各国に向けて、支払いのためにドルかユーロの現金を持った人が出かけて行かなければならなくなったと言うことでもある。全くもって、とんでもなく大変なことだ。時間もかかるし、世界に散らばっているロシア人の手元に現金を配達するなんて現実にできるのだろうか、と思いたくなるほどに大変なことの筈だからだ。 もっと深刻なのは、中国やインドなどへの原油や天然ガスの輸出代金はSWIFTでの決済ができなくなったために、現金決済しかなくなったことを示唆しているわけで、数百万ドルから数千億ドル単位の貿易決済を現金でやるとなったら、気が遠くなるようなとんでもない事態になるわけで、いったいどうしているのだろうと人ごとながら気にもなってくる。当然、中国などから購入した物の決済も同時に行われるはずだが、そうしたものの全てを銀行を通せないので現金でやるとなったら、想像を超えるものがある。 さらに、あえて言うまでもないことではあるが、数百万ドルとか数千万ドルの現金となったら、支払う方も現金を用意するのが大変だし、数えるのもとんでもない労力がかかることになるからだ。 また、北朝鮮から大量の武器や砲弾などの弾薬を購入したと言うこともあったが、そうした場合には北朝鮮行きの貨物列車に現金がどっさり詰まったトランクを山ほど積んでいったということなのだろうか。そのとんでもない額の現金が奪われたり消えたりしたら大事なので、現金の入ったトランクを見張るための警備員もたくさん必要になる。 とにかく、なにをやるにしても国家レベルでの決済に現金を使わざるを得ないと言うことは、とてつもない不便さがつきまとうことになる。 銀行間の取引ができないと言うことは、クレジットカードも何もかもがだめだと言うことになるので、ドルかユーロという現金以外に手段が無いことになるが、いったいどうやって決済をしているのか聞いてみたくもなる。 経済制裁は、道路や銀行だけではなく、自動車もパソコンもスマホといった現代ではなくてはならない物も、日本も欧米の企業もみんなロシアから撤退してしまったので、こうしたものがほしいとなったら現金を持ってカザフスタンやジョージアなどの近隣国にまでわざわざ出かけて行って、そこで買った者をお店に並べることになるのだが、そんなことをしたらあたりまえだがものすごく手間がかかるし、割高になる。しかも、商品を購入するときに銀行間取引ができないので、クレジットカードで何回払いというのもできない。現金の詰まったバッグを持って行かなければならないのだ。 さらに、パソコンもスマホもネット上のGoogle検索もマイクロソフトのアプリも皆使えなくなってしまったわけで、とんでもなく不便なことだろう。 実際にやられていない日本では全く実感が無いが、経済制裁を受けているベラルーシのルカシェンコが地獄の経済制裁と言っていた。ルカシェンコのような独裁者でも、そうも言いたくなるほどに悲惨な状況に陥っていると言うことなのだ。 ベラルーシは最初から欧米からの強力な制裁を受けたが、ロシアは原油や天然ガスを武器に欧米からの制裁を1部で逃れることができていた。しかし、最近になってロシアもベラルーシと殆ど変わらないという状況になってきたようだ。 思えば、ソ連崩壊時にエリツィンという酔っ払いの大バカを愚かな民衆が大統領に選んだことで、ハイパーインフレになると同時に経済は大混乱になり、目も当てられない惨状に陥ってしまった。このために殆どのロシア人はソ連崩壊によって経済が大混乱に陥った。だから、ソ連崩壊は大間違いだったと言って、ゴルバチョフを批判する大バカが圧倒的多数なのだが、エリツィンという経済のことが何もわからない馬鹿を大統領にしたことが間違いだったのだ。ソ連の崩壊時には、社会主義体制しか頭にない者ばかりなので、資本主義がどういうものかわからないと言うことであるのなら、エリツィンのような蛮勇を持った一見したところ頼りになりそうな大バカを大統領にするのではなく、もっと賢い理知的な人を選んで、それでも経済の運営に自信が無かったら明治維新の日本政府のように欧米から専門家を呼んできて、経済運営のアドバイスを受ければ良かったのに、エリツィンのような大バカを大統領に選んでしまい、これが経済のことなど何もわからないのに、大国意識が邪魔をして他国から教えを請うことはメンツに関わるとでも思ったからできなかったのだろう。結果として、馬鹿が独断で滅茶苦茶な経済運営を行ってしまったために国全体の経済が収拾がつかなくなってしまった。そして、この大バカが元KGBのプーチンという冷酷な殺人鬼を後継者にしたのだ。 こうしたありえないひどい選択をロシアの愚かな民衆が行ってきたのだが、もし、最初のロシアの大統領があんな馬鹿では無く、もう少し良識のある人物になっていれば、プーチンのような殺人鬼を後継者にすることも無かっただろうに。そうなっていればプーチンがチェチェンの人々を大虐殺するといったこともなかっただろうし、シリアの独裁政権の肩を持ってシリア国中を猛爆撃をして全土を廃墟同然にしてしまったり、ジョージアに軍事侵攻して多くの被害者を出し、ウクライナの領土を侵略してとんでもない事態を招くといったことも無かったはず。また、アメリカなどに偽情報を流すとか、世界中にサイバー攻撃をするなどと言う馬鹿なことに人的資源を使わずに、もっとまっとうなことに人的資源を使っていれば、ロシアは今とは全く違った国になっていただろう。 日経によると、ウクライナへの侵攻が始まってからロシアに進出していた企業が約1300社も撤退したという。それに付随して、こうした企業に勤めていた高度人材と言われている優秀な技能を持った人々がロシアから逃げ出してしまった。これからロシアの将来を担うはずの極めて優秀な人たちがロシアから消えてしまったと言うことは、ロシアにとってはとんでもない事態といってさしつかえがないだろう。ただでさえも欧米や日本と比べて先端技術では劣っていて、韓国程度の経済力しか無い国なのに、大量の高度人材が一気に消えてしまったということは、さらに遅れた国になることは決定したも同然だからだ。 しかも、この韓国程度の経済力しかない国が、比較にならないほどの経済力を持ったアメリカがバックについているウクライナと戦争をしているのだ。アメリカが支援しているウクライナに勝てるはずがないというのは、あまりにももっともすぎて反論の余地が全くない。ロシアが強気になれるのは核大国だと言うことだけだが、核を使ったらNATO全軍が参戦してロシア軍を壊滅させると、アメリカから脅されているので、口で脅す以上のことはできない。 これから経済制裁の効果がさらに効いてきて、ロシアの人々は大変な苦難を何年も強いられ続けることになることは確実なのだが、まさに、彼らが選んだ道なのだ。なにしろ、彼らが選挙でプーチンと言うスターリンと肩を並べる悪魔を最高権力者に選んだのだから、プーチンのしてきたことはロシア人がしたことでもあるのだ。 ロシア人が今後どんなに困ったところで同情の余地は全くない。彼らの苦難などプーチンのロシアによって行われた攻撃によって殺戮の被害を受けたチェチェンの人々やシリアの人々、今も多くの領土が占領されたままになっているジョージアの人々、それにウクライナの人々が受けた苦難と比べたら、問題にもならない程度のものでしか無いからだ。 モスクワタイムスというのは、ロシアの国営ではなく、民間の報道機関のようだ。 プーチンにとっては知られたくないようなことを平然と書いているからだが、今のロシアではこうした報道をすると、プーチンの飼い犬によって捕まってしまうことから、戦争前には普通に報道機関として日刊紙を販売していたのが、今ではそうしたことができなくなってしまったことから、インターネットでの報道に切り替えたものと思われる。 ![]() 話がおもしろい、または、ためになったと思われた方は下の画像をクリックしてください。 勿論、購入するかどうかはあなたの判断です。 |