マスコミによる年齢差別




2022.11.28





 最近マスコミが、またもや老人差別を繰り広げだした。97歳の人が歩道を走り、通行人を轢いたあげくに3台の車と接触したと言うことから、まるで老人が運転することは犯罪だとでも言いたげな論調を繰り広げている。
 TBSの番組では、こうした老人の事故に対しては、こうすれば良いのかが見えてこない、等と言い、ゲスト出演した人物は完全に悪のりして、この被害の大きさなどとまで言い出した。被害の実態なんて知るはずが無いのにもかかわらずだ。彼は、番組の中でいくつかの極めて印象的な事故例を見せられて言っているのだが、大勢の人が死傷したと言うことでも何でも無い。ただ、とても印象深い動画を見せられた、と言うことでしかないのにこのような大げさな言動を行っている。
 NHKでは老人の人口は25%ほどなのに、なんと全体の事故の15%もが老人が占めているというと、そこに出てきていたゲストの人が、それは大変なことですね!何とかしなければ!等と叫んでいたが、この人は小学生でもわかる算数が理解できないようなのだ。日本人全体の25%の老人が30%とか40%ほども事故を起こしていたら、これは大問題だが、15%しか事故を起こしていないわけで、こんな簡単な算数も理解できない人が有名人だと言うだけの理由でえらそうにコメントしている。
 あたりまえだが、老人と言っても様々な人がいるわけで、池上彰のように70歳を過ぎても、惚けているどころか若者など足下にも及ばない博識の人もたくさんいる。一方で、60歳代でも誰かついていないと不安だというような人もいる。ようするに、老人と言ってもものすごく個人差があるのだが、馬鹿なマスコミは十把一絡げにして老人の運転は危ないし、高齢者の運転は危険だと騒ぎ立てている。
 もちろん、馬鹿なマスコミが騒ぎ立てるのは、老人の運転による事故の被害者を懸念してのことではなく、視聴率を稼ぎたいだけであることはあまりにもはっきりしている。
 老人の運転による事故の中で、とくに目立つものや視覚的にインパクトのあるものをピックアップして、老人の運転は危険だと言っている訳なのだが、NHKでも放送しているように老人の割合が25%ほどなのに事故を起こす割合は15%と言うことは、老人の方が他の世代より事故を起こす可能性が低いと言うことを現している数字でもあるのだ。それなのにNHKでは、老人の運転はいかにも危険だという観点で番組を進めていた。
 しかしながら、日々全国で車を運転している老人たちの数は膨大なものになるはずだが、その99%以上の人は特に問題も無く運転をしているのに、たまたま特異な運転をして事故を起こすと言ったことが重なると、待ってましたとばかりに馬鹿なマスコミが騒ぎ立てるのだが、これは社会のためでも何でも無く、ただ単に放送局という企業の利益を考えての言動であることは火を見るよりも明らかなことだ。
 放送局の連中は、仕事として自社の利益のためにやっているだけなのだろうが、老人は運転を止めろと言うことをテレビという最も影響力のある媒体に言い続けられた結果、家族からの批判にさらされて多くの老人たちが運転をしたくともできないという状況に追い込まれ、泣き泣き免許の返納をせざるを得ないという悲惨なことになっている。
 放送局がある東京では交通機関が発達しているので、免許の返納を行っても少し寂しい位で済むだろうが、地方では交通機関がなかったりバスがあったとしても1時間に1本あればましな状態で、数時間も待たないとバスが来ないなどといったところが普通にある。そうしたところに住んでいる多くの老人たちに免許の返納を強要することは、正義でも何でも無い。極めて悪質な年齢差別で、老人には早く死ねと言っているのと大差が無い。
 さらに、老人の免許更新の際にはもっと厳しくするべきだなどとTBSの番組で馬鹿な女が言ったりするわけで、この女自身が老人の年齢のくせに若いふりをして老人攻撃をやっているのだが、今でも70歳以上の人の免許更新の際には高いお金を払って教習所に行き、教習所内を走るというようなことを強いられているし、75歳以上になるとさらに認知症のテストなどを受けなければならないのだが、いずれも高額な費用のかかるものでもある。そして、こうしたことは馬鹿なマスコミの悪宣伝によって行われるようになったことでもあるのだ。こうした取り組みをもっと強化するようにと、番組に出演している馬鹿なコメンティターが正義漢のふりをして叫んでいたりする。しかし、こうした免許更新の際の様々な義務づけを強化すれば、それだけ手間がかかると言うことから教習所ではさらなる高額な手数料の請求がなされることは目に見えている。さらに問題なのは、こうしたことを取り上げて高齢者を批判していることの全てが、テレビ局や番組に出演している者どものためにやっていることは誰の目にも明らかなことだ。酷い事故のビデオを見せられた後に、このようなことを言えば、自分の好感度が上がるに違いないという薄汚い自己顕示欲が透けて見えている。

 近年は、殆どのクルマに自動ブレーキが装備されてきている。しばらく前までは高級車にしか装着していなかったのが、近年では軽トラックにも装着されているという状態だ。自動ブレーキが着いたクルマなら高齢者に多いアクセルとブレーキの踏み間違えを起こしても、システムが壁や人体に衝突するのを防いでくれる。いまは自動ブレーキが装着された自動車の割合が少ないが、やがてのことに、古いクルマがなくなって全てのクルマが自動ブレーキが装備された状態になるのはそう遠い日のことではないはずなのに、老人の運転による事故にたいして、「対策をどうすれば良いのか見えてこない」などと悪意に満ちたナレーションを流していることからも、マスコミの底意地の悪さ、悪質さがわかろうというものだ。
 マスコミが騒ぎ立てるのは被害者を慮ってでないことは、被害を受けて死んだり大けがをしたりする人にしてみれば、老人によるインパクトの大きい事故であろうが、若者による暴走事故であろうが死んでしまったら被害者にとっては同じに決まっていることを、あえて無視しているからだ。マスコミの言うことを聞いていると、老人による目立つ事故で大きな被害を受けることは許されないことだが、若者の無謀な運転による事故は仕方がないと言っているかのようだ。こうしたことの前提として、ぬぐいがたい高齢者に対する怖ろしいまでの強い差別意識が横たわっていることは明らかなことなのだが、彼らは差別と思っていないようなので、まさに背筋が寒くなるような思いがする。
 とにかく、高齢者がとんでもない事故を起こすと、高齢者全てが連帯責任を負わないと行けないのだが、若者の無謀運転については、その若者個人の問題に帰するというのは、普通に考えたら差別としか言いようがないのだが、差別が身についているので差別と思わない神経の持ち主が、マスコミという影響力の大きな媒体にどっさりいるというのは大きな問題なのではないだろうか。

 老人の事故より若者の事故の方が多いことは、あえてここで言うまでも無いことだが、若者の運転は危険なので免許の返納とは決して言わない。これが年齢差別でなくてなんだろう。日本人は就職などでも年齢差別が大好きな国民だが、自分たちもいつかは年を取るのだと言うことを忘れているというか、馬鹿すぎてそうしたことまで頭が回らないと言うことなのかも知れない。
 馬鹿なマスコミの言うことがいかに根拠のないでたらめな話かを数字で示すと、
 警視庁のデータでは、2008年の高齢ドライバーによる交通事故発生件数は、6840件、事故全体に占める高齢ドライバーの事故割合は11.1%だったが、2017年は、事故件数が5876件と減っている。こうしたことは調べればすぐにわかることなので、マスコミは当然知っているに決まっているのだが、マスコミにとっての不都合な真実は無いことにしたいのだろう。さらに、毎年老人の人口比率は高まっている。別な言い方をすれば、日本人全体の数は減っているのに老人の数は増え続けている。老人の数は増えているのに、事故の件数は減り続けているのだ。しかも、今後自動ブレーキが装着されたクルマが殆どになれば、高齢者による事故は激減することは目に見えている。それなのに老人の運転は危険だというマスコミの批判は、ものすごく悪意があるとしか考えられない。まさに、悪意に満ちた誹謗中傷を行っていると言っても何ら差し支えがないだろう。
 老人による死亡事故率が高いのだから免許を返納しろというのなら、免許保有者10万人当たりの死亡事故割合は、65歳以上で5.84件、70歳以上で7.37件、75歳以上で10.53件だが、16〜24歳は7.66件で70歳以上の高齢ドライバーより死亡事故を多く起こしている。老人の事故による死亡事故件数が多いので免許を返納しろというのなら、免許の取得年齢を25歳まで引き上げろというのでなければ、高齢者差別と言われても仕方ないのだが、差別が大好きな悪意に満ちたマスコミは決してこうしたことを口にはしない。
 また、事故全体をみても、75歳以上で免許保有者10万人当たりの事故発生件数は768件で、100人に1人も事故を起こしていないし、これは16〜24歳どころか、25〜29歳の人よりも低い数字だ。
 以下は専門家の書いたものの抜粋だが、馬鹿なマスコミによる高齢者差別によって、高齢者の寿命まで縮めているという。
「高齢者から自動車の免許を取り上げると、多くの高齢者の認知機能にかなりの悪影響を及ぼしかねない。本当に認知症などになってしまった人であれば、デイサービスなどで外出できるが、そうでない場合、特に地方の高齢者は、自動車がないと外に出る手段がなくなってしまう。電車やバスが充実している大都市でも、80代以上の高齢者の場合、手押し車やカートでは電車やバスに乗りにくいという理由で、動かなくなる高齢者も多い。高齢者専門の精神科医の立場から言わせてもらうと、外出が減ることによる刺激のなさが認知機能を落としてしまうのだ。
 家の前に車がある地方の高齢者のほうが、私の見るところ、外出の機会が多い。現実に、交通の便のいい大都市より地方のほうが、平均寿命が長い地域が多いのだ。」

 ここまで書いてきて思ったのは、マスコミ関係者の腹の中だ。なぜ、彼らは高齢者の事故が多いどころか年々減り続けているのに、高齢者のドライバーをまるで犯罪者のように扱うのか。
 事故を起こした人間は非難されても仕方が無いのだが、かつて池袋で大きな事故を起こした元官僚は、元官僚であるが故に受けられる優遇された年金をもらっていたはずだし、官僚時代には高額な収入を得ていたはずで、たっぷりお金を持っていたはずだ。彼が事故を起こしたクルマを買った頃には自動ブレーキが装着したクルマは高級車ばかりだったとしても、そうした高級車を買えるだけの資産をたっぷりと持っていたであろう筈なのに、あえて自動ブレーキの着いたクルマを買おうとしなかった。まともに歩くこともままならないという状態では、事故を起こす可能性が極めて高かったにもかかわらず漫然と自動ブレーキの着いていない普及価格帯のクルマを買ったのだ。これは批判されて当然だが、だからといって全ての老人の運転は危険だというのは根拠薄弱だし、極端としか言いようがない。それこそ愚か者の言動の特徴であるステレオタイプの典型だ。
 殆どの高齢者は毎日運転をしていても事故も起こしていないし、まして人を傷つけたわけでもないのにどうして批判の対象にされなければならないのか。事故を起こした人と年齢が近いからと言うだけで、なぜ免許の返納という罰を受け入れないと行けないのか。
 おそらくだが、こうしたことをマスコミが繰り返し行うのには悪意に満ちた軽薄な企みがあるからなのではないだろうか。
 極めて特異な事故を起こした老人をスケープゴートにして、大々的に叩けば必ず視聴率が上がる。
 視聴率が上がれば、番組を担当している者の全てが会社から高評価を受ける。
 そのために多くの老人たちが犠牲になるのは問題にもならない。言うまでも無いことだが、放送局の連中にとっては高齢者差別は快感でもあるのだ、と言いたげな言動を繰り返している。
 老人たちの殆どは弱い立場の人たちなので、特別非難に値するようなことは何もしていない。事故を起こしてもいないし、人を傷つけてもいないが、運転すること自体をテレビという強力な影響力を持った媒体に非難されれば、免許の返納という罰を甘んじて受け入れるはずだ。例え、免許の返納をしなかったとしても視聴率向上という当初の目的は達しているのだから、全く問題ない。放送局に勤めている我々には火の粉が飛んでくる懸念は全くないことから、まさに、やり得だ。
 老人たちをバッシングしている連中の腹の中には、こうした考えがあるのだろう。もちろん、間違っているかも知れないが、当たらずとも遠からずの筈。
 人間という者は、自身の利益のためには他者を蹴落とすことをためらわない生き物ではあるのだが、こうした悪意に満ちた薄汚いことを繰り返し行う者どもの人間性を疑わざるを得ない。
 ま、番組を担当している人々にとっても視聴率が低いままでは担当を変えられてしまうかも知れないという無言の圧力にさらされているのかも知れないが、だからといって無関係な最も弱い立場にいる者を叩くことで、自分たちの満足度や身分の安定を図るという考えは明らかに間違っているし、あまりにも精神が薄汚すぎる。







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