池上彰について




2022.07.18





 ビデオに録画したのだが、時間が無くて連休の今、ずいぶん前に放送されたのを見ているという状態。
 そうしたなかで、4月2日に放送された「池上彰のニュースそうだったのか!」と言う番組を見て、前にもこの人こんなことを言っていたな、と思った。
 番組は、池上彰がロシアのウクライナ侵攻について質問に答えるというもので、カズレーザーが「過去にソ連に属していた国がバルト三国がNATOに加盟しようとしていたときに、ウクライナのような状況になる可能性があったはずだが、ソ連で一緒だった国、特にバルト三国はロシアと国境を接しているにもかかわらずなぜこうした国々を攻撃しなかったのか」と言う問いかけに、池上彰はこう答えている。
「バルト三国ってソ連が崩壊したから独立したわけでは無い。ソ連の崩壊前に独立をしている。昔、無理やりソ連に入れられちゃったから、ソ連がソ連として存在しているときに独立してしまった。そのときソ連は認めたんだ。ソ連の時に認めたんだから、これに関しては何も言えない。だからバルト三国は良いのだが、ソ連が15の共和国だったのが12になってしまった。」
 と言うことなのだが、とても奇妙な論理だ。ソ連崩壊の直前にバルト三国は独立したので、NATOに加盟するのは容認するが、ソ連が崩壊後に独立したウクライナがNATOに加盟するのは許せないというのは、プーチンがそうした態度を取っていることは確かだが、そのプーチンの独善的な考えを池上彰が当然とでも言いたげな態度で出演者に説明しているのには、ものすごい違和感を覚えた。
 言うまでもないことだが、ロシアのような何をするかわからない危険きわまりない国と国境を接していたら、そして民主主義に基づいて国の方針を決めようとすれば、ロシアが様々な嫌がらせをしてきたり、場合によっては侵略してくるかも知れないと思うのは当然で、実際にそうなっていることからもNATOに加盟することで安心感を得たいと思うのは当然だからだ。それをソ連時代に独立した国がNATOに加盟するのは認めるが、ソ連崩壊後に独立した国がNATOに加盟するのは許せないなんて、まるでプーチンの代弁者ではないかと思った。
 さらに奇妙なのは、ソ連時代に独立したからと言って、そのときにバルト三国はNATOに加盟したわけではない。バルト三国がNATOに加盟したのは、プーチンが大統領になったあとの2004年の3月だ。
 確かに、ソ連崩壊後に独立した国でNATOに入った国は無い。ジョージアもモルドバも多くの国がNATOに入ろうとしているのだが、それをプーチンが阻止していることは事実だ。そうしたプーチンの個人的な想いを、池上彰が当然とでも言いたげな態度で説明しているのは奇妙としか言いようがない。
 プーチンの言うことを聞いていると、NATOが強引に加盟国を増やし続けてきたかのような言い方をしているが、NATOがNATO加盟を嫌がる国々を強引に加盟させようとしているのでは無く、どこの国もロシアへの脅威から逃れたいが為にNATOに入れてほしいとお願いしていると言う状態なのだから、プーチンという元KGB工作員であった異常な頭の男のこじつけ以外の何ものでも無い。それなのにどうして池上彰が、まるでプーチンの代理人ででもあるかのような態度を取るのか。奇妙としか言いようがない。

 さらに、最近池上彰からたびたび聞くようになったのが、種痘の話しだ。
 彼の話によると、ジェンナーは自分の子供に最初に種痘をしたのではなく、召使いの子供を使って牛の膿を植え付けると言うことをしたと言っているのだが、いったいどこからこのような話しを聞いてきたのかと思わざるを得ない。
 この池上彰の話しは全くの嘘だからで、池上彰と言う人は政治や時事ネタに対しては強いのだが、科学や医学と言ったことに対しては全く疎いと言うことは、これまでにインターネットの解説などで本人が何度も実証してきたことだからだ。LEDに関しての解説では、ノーベル賞受賞者に対する受賞理由をノーベル委員会が明らかに間違った説明をしていたのに、その間違いをそのまま解説していた。
 科学や医学には疎い池上彰が知るはずも無いとは思うが、種痘というのは紀元前の遙かな昔から行われてきた。
 天然痘は免疫性が高いために、一度罹れば二度と罹患しない。そこに気づいたインドでは、紀元前1000年ころには予防のための人痘法が行われた。
 人痘法というのは、患者の膿を乾燥させて弱毒化した後、健康な人間の皮膚に接種して軽い発症を促すのだ。ただし、この人痘法は死亡率が2パーセントと高いか低いかは人それぞれで違うだろうが、天然痘が発症して死ぬ可能性があることから、18世紀初頭には欧米でも知られてはいたものの、なかなか普及しなかった。
 普通に天然痘に感染した場合、死亡率は50パーセントと言われているのが、人痘法を行えばたった2パーセントの死亡率と考えれば、種痘というものはジェンナーの遙かな昔からあったわけで、医者である彼が人痘法による種痘を知らないはずは無いのだ。
 ただ、多くが軽い感染で済むのだが、そうでない人もいる。
 種痘というものはジェンナーが最初に行ったとマスコミも当然なことのように言うし、池上彰もその例外ではないのだが、実態は違うと言うことなのだ。
 さらに、ジェンナーが最初に人間の膿ではなく、牛の膿を使うという発想を行うについても、人間の膿での実績があったと言うことなので、画期的な全く何もないところからの発想では無かったと言うことになる。正確には牛の膿ではなくて、牛の乳搾りの娘の手にできた膿なので、殆ど人痘法と変わらない。
 元々遙かな昔から種痘というものは存在していたのだが、ジェンナーはワクチンの材料をこれまでとは違うものを試しに使ってみたと言うことでしかないのだ。
 しかも、ジェンナーが実験動物ではなく人間を実験に使ったのだが、この実験に使った人間というのは池上彰が言うような召使いの子供ではなかった。
 アメリカのハワイ大学熱帯医学部教授のロバート・S・デソヴィツと言う免疫学者の書いた本に寄れば、
「ジェンナーは少年院や農家から貧民の子供をかり集めて牛痘の膿疱からとった膿を接種し、その後しばらくしてから今度は天然痘にかかった人の膿疱からとった材料を接種して調べた。
 1776年5月、彼は八歳の少年を選び乳搾りの娘の手の腫れ物から取り出した物質を接種した。翌日少年は発熱、頭痛、食欲喪失を示す病気になったが、その次の日には完全に元気になった。数ヶ月後、ジェンナーはその少年に天然痘の膿疱からとった資料を接種した。少年は無事で天然痘にはかからなかった。
 この後ジェンナーは五歳、六歳、七歳の3人の女の子と11ヶ月と12ヶ月の2人の男の赤ん坊に接種した。この後に免疫力を付けたかどうかを検証するために天然痘の膿を接種する仕事は、ジェンナーの甥である医者ではないヘンリー・ジェンナーが行った。その天然痘の膿が有毒であることを確かめるために、ヘンリーは種痘を受けていない健康な人に接種を行った。その結果、彼に全く正常な天然痘を発病させることに成功したと、喜んで叔父に報告することができた。」
 この故意に天然痘を発病させることに成功したと言われた人物は、天然痘が発病した際にいったいどう思ったのかは知るすべもないが、いったいヘンリーは何と言って天然痘の膿を接種するのに同意させたのかと思うが、おそらく、人痘法は多くの人が知っていたのだが、貧しい農家の男はうすうすとしか知らなかったのだろう。そうした無知な男に対して、大金を払うので人痘法をやってみないかと勧めたのだろう。人痘法は天然痘にかかることもあるがめったに発症することはないとでも言ったのだろう。人痘法本来の方法なら滅多に発症しないのだが、本来の弱毒化した膿ではなくヘンリーは弱毒化していない生の膿を男に接種したのだ。
 貧しい農民にしてみれば、大金をもらえる上に人痘法という治療をしてもらえると思ったのだろう。そうでないと、死亡率が50パーセントの天然痘の膿を自分の身体に植え付けるなどと言うとんでもないことを了承するはずがないからだ。
 この本では、少年院などからモルモットになる子供たちを選別したと書かれているが、普通日本で少年院というと、犯罪を犯した少年少女の保護施設ということになるが、この場合の少年院というのは、幼い子供から赤ん坊までいることから、何らかの理由で親を亡くしたか親に捨てられた子供を保護する施設と思われる。
 幼い子供たちを実験動物のように扱うことについて、子供たちを保護している施設を管理している大人たちが特に反対もしなかったのは、本の作者がオックスフォード大学教授のモーリス・ワイルス師から聞いた話によると、18世紀のイギリスプロテスタントの神は、社会の上流と中流階級だけを守護するものであった。貧乏人は生まれながらの貧乏人という罪を背負っているので、神のご加護の対象外であったという。このためにジェンナーは、こうした貧民の子供をモルモットのように扱うことに対して、良心の呵責を全く感じなかった、と言う。










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