終戦直後の日本のありさま


2022.06.21





 先日、NHKが戦争直後の日本のようすを、当時のニュースフィルムを使って人々の生活の有様を描いた番組を再放送した。
 この番組を見た人の感想を聞いてみたいと思って、snsに投稿してみた。
 戦争直後の日本の役人どもや政府の姿勢が今に受け継がれているのでは無いのか、と言う問いかけだったのだが、残念なことに番組の制作者の意図を理解する頭のある人が極端に少ないのだと言うことがよくわかるコメントしかなかった。

 番組内容としてはとてもわかりやすいものだったはずだが、あの程度のことでもsnsにいる殆どの人には何が描かれているか全く理解することができないらしい。
 番組の冒頭で、多くの人が飢え死にをしているというコメントがあって、そうした中で飢えに苦しむ人々が大混雑の列車に乗り込んで地方の農家に出向いて食料を調達し、家に持ち帰ろうとするのだが、農家自体戦争によって働き手を奪われているという状態で、戦争が終わったからと言ってすぐに作物が実るはずも無いので、戦争直後は農家自体が農作物が足りないという状態にあったのだが、そうした中で多くの人が必死の思いで農家から物々交換で分けてもらった食料を、警官たちが闇の食品だと言うことで没収してしまう。
 ハイパーインフレのためにお金が紙くずになってしまったために、都市部の食料品店にはなにもないので、家にある金目のものをリュックサックなどに詰め込んで地方の農家の所に行って、農家の人に懇願してようやく手に入れた食料を警察官が横取りをするのだ。
 その没収した食料を、警官どもが食べていたことは疑う余地すらも無い。闇の食料を食べないとがんばっていた裁判官が餓死したことは、当時のことに多少なりとも関心のある者ならみんな知っていることの筈で、闇の食料を警官から奪われまいとして逃げ回る人々を取り締まるというような行為、こうした活発な動きが闇の食料を食べないでできるはずが無いからだ。
 全くもって冷酷な上に薄汚いとしか言いようがないのだが、当時は権力を笠に着た役人どもが好き勝手なことを行っていた。
 悪いのは警察や検察だけでは無い。役人どもが軍が戦時中に貯蔵していた食糧を隠匿していると言う噂が広がり、人々が役所に出向いて追求したが、役人どもは知らないと言い張っていたのだが、役所の倉庫には膨大な食料があると言うことがわかり、大騒動になっている様子が当時のニュースフィルムに残っていて、この番組で放送されている。
 役人どもは、まさに闇の物資を大量に抱え込み、それらを闇市場に流して大儲けをしていたのだ。
 あの番組を見ていると、人間というものはこれほどまでに浅ましくなるのかと思わざるを得ない。
 自分さえ良ければ、自分たち役人どもさえ良ければ、他の人間がどうなろうが知ったことでは無いという態度があからさまだからだ。

 日本政府はもっとえげつない。
 東京のような大都市では、地方に出向いて農家に金目のものを渡して食料を得るだけの財力を持たない人々が、飢え死にすると言う状況が毎日たくさんでているというのに、進駐軍に対して日本政府は豪勢きわまりない生活を税金を使って享受させていたのだ。それだけではない。国が慰安婦の施設を作り、慰安婦を募集して、集まった女たちを進駐軍に無償で与えていた。
 国民が食べるものも無いと言って苦しんでいて、実際に飢えで死ぬ者が毎日出ていたし、庶民が米軍から廃棄された残飯を煮出したものを闇市で食べているときに、天皇は豪勢な食事をしていたことが発覚し、天皇に対する尊崇の気持ちなど吹っ飛んでしまった。
 なぜ、天皇が豪勢な食事をしていたのかわかったのかは、天皇が2度目の玉音放送を行ったのだが、玉音放送を企画したものは恐らく国民の鼓舞を図ると言う目的で天皇に2度目の玉音放送をするように依頼したのだろう。ところが、東京のように最も飢えに苦しむものが多かったところでは、そんなことを言われたって食べるものが無くて腹が減っていると言うことに対しては何の解決にもならないじゃ無いか。それじゃ、いったい天皇は何を食べているのかを見に行ってみようじゃ無いか、と言うことになった。今では到底考えられないことだが、戦争に負けたことから天皇の地位が揺らぎ始めていた時期でもあったわけで、天皇自身が現人神などでは無いと言いだしていた時期でもあったと言うことも重なって、戦争中には天皇を神のように恐れ敬っていた下々の者の意識が、戦争直後には一変していたと言うこともあって、天皇の住む御所に出向いて何を食べているか見てやろうという大勢の群衆が御所に押しかけたのだ。今なら、御所を警備している警官隊が全力で群衆を阻止するだろうが、当時のニュースフィルムを見ると、警官隊が群衆を阻止しようとがんばっている感じが全く無い。入りたいのなら、勝手に入れば、という感じにしか見えないのだ。このために特にトラブルも無く、みんなまるで遊園地の入り口から中に入っていくというような感じで、ぞろぞろと御所の中に入っていく光景が展開していた。
 ニュースフィルムを作っている記者たちも群衆と一緒になって御所の中に入って行って、調理を行っているところにまで出向いたようで、そこには天皇のための献立表が張り出されていたのだが、今でもたいそう豪華な食事内容だったことがわかると言ったものだった。

 さらに酷いのは、国民が飢えに苦しんでいるさなかに、進駐軍に貴族も顔負けの豪勢きわまりない生活を日本政府が供応していたのだが、こうした事実が当時記録されていたにもかかわらず大問題にならなかったのは、恐らくこのような事実を公開することを進駐軍が禁止していたのだろう。もし、このようなことを映画館などで放映してしまったら、それこそ大騒ぎになっていたはずで、進駐軍が自分たちのためにも差し止めをしていたことは疑う余地すら無い。
 それにしても、この国の政府や役人どもは、庶民のことなどどうだって良いという考えをこの頃から持っていたのでは無いのだろうか、と思わざるを得ない。

 今もとてもよく似たことが起こっている。
 進駐軍を財界に置き換えてみれば、当時と今が驚くほどよく似ているのでは無いだろうか。
 円安を進めれば、財界関係者は潤うだろうが、中小零細企業に従事している者にとっては円安はデメリットでしかないし、輸出とは無関係な仕事に就いている圧倒的多数の民衆にとっては、物価高というデメリットしか無いのだが、政府は全く気にもかけていない。
 参議院選挙が近づいてきているので、口では悪い円安だなどと言っているが、あくまでも口先だけ。円安を何とかしようなどと言うそぶりも見せようとしないからだ。
 どうせ、愚かな民衆は選挙になれば与党に投票してくれるに決まっている、とたかをくっているのだろう。

 NHKは、どういう意図を持ってこの番組を放送したのかは知らないが、恐らく当時ととてもよく似ていると思ったからなのでは無いだろうか。
 でも、圧倒的多数の愚かな民衆には何も伝わらないのだ。










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