プーチンとロシア


2022.04.11.




 プーチンというのは、近年希に見る大悪党だ。
 数日前にNHKで昔放送した「プーチンへの道」という番組を再放送していたが、この世にこれほどの悪魔が存在していることに驚いた。まさに、スターリン2世だ。
 プーチンという悪魔が、どうして大統領の地位を得ることができたのかと言うことについては、昔から不思議に思っていたのだが、今回のテレビ番組を見て初めて知った。
 全く無名だったプーチンが人々に知られるようになったのは、モスクワの高層アパートが強力な爆弾によって破壊され、数百人のロシア人が死に、数千人の重軽傷者をだしたことがきっかけだった。この事件はプーチンが爆弾をいくつもの高層アパートに仕掛けて爆発させることを指示し、大惨事を引き起こしたうえで、この犯人はチェチェンの過激派がやったことだと言うことをテレビに出演して、テレビカメラの前でチェチェンの過激派を激しく批判した。そして、チェチェンの過激派を殲滅するという名目で大規模なロシア軍による無差別爆撃を行い、まさに今ウクライナの多くの都市が廃墟状態になっているが、あれと同じことをチェチェンでもやったのだ。
 このことでプーチンはロシアでは一気に有名になり、英雄になったのだが、アパートの爆破はプーチンの仕業だと言うことが今ではわかっている。
 プーチンが泣く子も黙ると言われた冷酷で残酷きわまりないKGBの工作員だったと言うことを考え合わせてみれば、普通の人では考えられないことを実行するというのも、十分すぎるほどに納得のできる話だ。
 KGBがあまりにも恐ろしい組織だったということから、ソ連崩壊と共にKGBは解体され、FSBというものに変わったのだが、実体は看板の掛け替えに過ぎなく、中身は何も変わってはいない。
 当時、KGBの後継組織であるFSBの長官であったプーチンの命令でアパートを爆破し、大勢の死傷者を出したうえに、何の罪も無いチェチェンの人々を数十万人も虐殺するという発想自体が悪魔の所行としか言いようがない。チェチェンの人々にしてもロシアのアパートの住人にしても、いずれもプーチンとは何の関係も無いのに、プーチンの個人的な思惑によって殺されたり肉親の命を奪われてしまうといった悲惨な運命を強いられたわけで、被害を受けた人々にとっては、不幸や悲劇などという言い方では到底表現ができないほどの目も当てられない惨状だ。
 しかし、プーチンにとっては思いがけないことだったろうが、元KGBだったプーチンに近い男がアパートの爆破事件はプーチンの命令によって行われたと証言をした後にイギリスに逃亡した。もちろんプーチンという悪魔が裏切り者をそのままにしておくはずが無く、すぐに何者かによって毒殺されたし、この事件を調べようとした野党の議員たちも複数人暗殺され、プーチンが犯人だと記事に書いた新聞記者も何者かによって銃殺された。
 イギリスで毒殺された元KGBだった男の死の直前の映像は、当時盛んにニュース番組などで流されたので、知っている人も多いだろうが、こうした暗殺というやり方そのものがまさにKGBの得意技で、彼らの仕業だと言うことを明確に現している。
 さらに、元KGBだった別の人物もアパートの爆破に不審を抱いて個人的に捜査をしようとしたのだが、アパートの爆破について調べを進めているさなかに、彼が車に乗り込もうとしているところに大勢の警官に取り囲まれてしまい、警官が車の中を調べたのだが特に不審なものは無かった。何も問題が無いと言うことで安心をしたところ、1人の警官が彼の車の中に鞄を投げ込んだのだ。そして別の警官がその鞄を開けて中に拳銃が入っていると言って男を逮捕し、男は刑務所に収監されてしまった。信じられないほどに作為的で悪意に満ちているが、これほどまでにあからさまで悪質なことは、日本や欧米ではありえないことだ。日本でも警察が明らかな犯罪行為と思われるようなことを行うことはあるが、ここまで酷くは無い。ロシアでは警察も検察も裁判所も皆正義の味方でも何でも無い。単なるプーチンの飼い犬に過ぎないから、どのような不正なこともあたりまえのようにできてしまうのだ。
 いくつもの高層アパートが爆破された事件については、爆発が起きなかったところがあって、爆発前に発見されたと言うことがあったのだが、爆弾はKGBが使う特殊な物が使われていたことがわかっているし、プーチンがあれは訓練で中味は砂糖だと言ったことからもプーチンが犯人であることは明らかだ。しかも、その砂糖の成分を調べようとした物は全て殺されたり、でっちあげの罪で刑務所に入れられてしまっているのだからなおのことだ。
 それにしても、こうしたことは全て疑念を呼ぶ行為だが、警察もマスコミも問題にしないので、一般の人には知られないままだ。今回のように外国の報道機関によって報道されてもロシアでは放送されないのでたいした問題にはならない。外国でいくら報道されて批判を浴びたとしても、プーチンという悪魔にとっては疑いはいくらかけられても嘘だと言って言い逃れをすれば良いことなので気にもかけないのだ。
 逆に、こんなとんでもない大がかりなことが、ロシアでプーチン以外の人間ができる筈が無いのだ。
 それにしても、なぜアパートを爆破し、多くのロシア人を殺すというようなむごいことをしたのかだが、もちろん大統領になるためだ。
 自分の利益のためならどれほど多くの人の命を奪おうが、気にもかけない。それがプーチンという悪魔の本性だ。

 それにしても、どうしてロシア人の多くがプーチンという悪魔を未だに賛美し続けているのか、と言うことについてはロシア人以外の殆どの人にとっては理解不能なのでは無いだろうか。
 ロシアにはドゥーギンと言う男がいるのだが、彼の考えが多くのロシア人の考えの裏付けとなり、共感を得ているようなのだ。
 ドゥーギンの考えというのは、「民主主義は空疎である。中流階級は悪である。ロシアは「運命の男」に統治されねばならない。アメリカは邪悪である。そしてロシアは無垢なのだ……」という我々民主主義の世界に生まれ育ったものにとっては、ばかげているとしか思えないようなことを考えていて、多くの愚かなロシア人はこの考えに賛同しているようなのだ。
 民衆というのはどこの国でも愚かなものなのだが、ロシアの民衆にとっては、皇帝の時代から共産党の時代を経て、現在まで一度もまともな民主主義というものを経験したことの無い彼らにとっては、ドゥーギンの考えは極めてスムースに受け入れられるということらしい。
 ドゥーギンの考えとしては、無垢で優れたロシアが、堕落し、腐りきったユーラシアを征服することで浄化しなければならない、と言うことなのだ。
 さらには、独立したウクライナ国家は「ロシアがユーラシアを支配する運命を阻む障壁」だと言うのだ。
 全く、信じられないくらいに独善的な考えで、ロシア以外の国ではロシアが無垢だ等とはよほどの変わり者以外誰一人思わないし、全く相手にもされないばかげた論理だが、愚かなロシアの民衆にとっては心地よいものとして受け入れられている。
 日本のマスコミは、ロシアとウクライナは兄弟国だと言うことを盛んに強調するのだが、ドゥーギンの考えでは、今のような民主化したウクライナは存在していては困るのだし、民主化を守ろうとするようなものは抹殺しなければならないのだ。
 日本のマスコミは、なぜ兄弟国であるはずのウクライナの人々を無差別に殺すと言うような残虐きわまりないことをするのかと言って非難をするが、ドゥーギンの考えに染まった者どもにとっては、ウクライナの民主化に染まった者を殺戮するのは当然のことなのだ。
 日本のテレビによく出てくる専門家と称する人たちは、プーチンは最初の頃には民主化を進めていたなどと言っているが、プーチンの道というテレビ番組に出演していたロシアの人たちやプーチンをよく知っている人たちに言わせると、プーチンは最初から民主主義など問題にもしていなかった、と言うことなのだ。あくまでも西側の連中をたぶらかすために、民主化を進めているようなふりをしていたに過ぎないと言うことなのだ。

 プーチン政権誕生後の2005年、ドゥーギンは国の支援を受けて、ウクライナ解体とロシア化を訴える青年運動組織「ユーラシア青年連合」を設立したのだが、このことからもドゥーギンの考えは最近になって人々に広まったわけでは無く、ずいぶん昔から広くロシア人の意識の中に刻み込まれていることなのだということがわかるだろう。なにしろ20年ほども前からドゥーギンは国の支援を受けているのだし、いわば彼の考えは国のお墨付きを得られていると言うことでもあるのだから。
 2009年には、ドゥーギンは「クリミアとウクライナ東部を求める戦いが起こること」を予見していたのだが、プーチンに近いドゥーギンがクリミアへとウクライナ東部への侵攻を知っていた可能性が高い。
 ドゥーギンから見れば、民主化されたウクライナの存在は「ユーラシア全体にとって大いなる脅威」としか思えなかったので、何らかの形でウクライナを消滅させなければならないと思っていたことは確実だ。
 日本では2014年に親ロシア派の大統領がウクライナから追放されたことから、クリミアやウクライナ東部への侵攻が始まったと言われていて、こうした事態を招いたのは2014年のマイダン革命によるものだという人が多いのだが、その5年も前からドゥーギンはウクライナへの侵攻を知っていたことを考え合わせてみると、クリミアやウクライナ東部への侵攻は、5年以上も前から予定されていたことは確実なのだ。したがって、あくまでもマイダン革命はきっかけに過ぎなかったということなのであって、プーチンにしてみれば予定の行動に過ぎなかったのだ。

 さらには、ロシア正教の修道士で、ティホン・シュフクノフと言う人物が、ウラジミール・プーチンこそが、ロシア人が「ウラジミール」と呼ぶ古代キエフの王の生まれ変わりだと唱えた。
 これはもう、あまりにもよくできすぎているような話なのだが、まさに、ドゥーギンの言うところの「ロシアは「運命の男」に統治されねばならない。」と言う説にぴったり当てはまるし、プーチンにとってはうれしくて、それこそ歓喜で迎えるようなありがたいの一語に尽きるような説だろう。プーチンのプロパガンダにとっては、これ以上無い有益なものとして受け入れられたことは疑う余地すらも無い。
 こうしたドゥーギンによるロシアの人々への洗脳が浸透していると言うことを踏まえた上で、今ウクライナで起こっていることを眺めてみたら、納得できることがありすぎるほどにあるのでは無いだろうか。
 そしてこのことは、ロシアという巨大な国が、実はカルト国家だと言うことでもあるのだ。要するに、プーチンは20年かけてロシアの愚かな民衆を洗脳し、カルト集団化してきたと言うことになる。
 ウクライナを最初に侵攻し始めたときには、ウクライナを攻撃して何の良いことがあるのだろう。どうしてこのような不合理きわまりないことをするのだろうと思ったものだが、カルトと言うことであれば、いかに不合理なことでもなんの躊躇も無くやるだろうし、いかなる残虐なことをやったとしても違和感は無い。
 ウクライナで、ロシア軍がウクライナ人を広場に集めて若い男を何人かひざまずかせて後ろから銃を撃って殺したと言うことがあったが、そのときにロシア軍の将校が「こいつらは汚物なので気にする必要は無い。我々は汚物を消して清浄化するためにやってきたのだ」と述べたそうだが、まさしく、ロシア軍の兵士たちにもドゥーギンの考えたカルトの影響が浸透していると言うことがよくわかる。
 なぜ、ロシア人はみんな見え透いた嘘を平然というのかと言うことについても、カルト集団なら違和感は無いのだ。
 もちろん、こうしたカルトに冒されていないロシア人は、プーチンのやることに違和感を持つだろうし、反感も持つだろうが、嘆かわしいことに、ロシア国内ではこうした人は極めて少数派なのだ。

 言うまでも無いことだが、ロシア国内に住んでいないロシア人は、その多くはカルトの洗礼を受けていないのだから、彼らを批判したり嘲ったりするのは間違いだ。











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