ブレグジット後の英国




2021.1.14.

 イギリスがEUから離脱したらイギリス経済は壊滅的な状況になると、離脱が決まった直後から日本のマスコミは言い続けてきた。
 昨年末の段階でもEUからの離脱によってイギリス経済は壊滅的な状況になると、日本のマスコミは言っていたのだ。
例えば、日経の電子版では下記のような記述がある。
「年明け4日、ユーロ建て欧州株取引が一斉にロンドンを離れた。」
「見事なオウンゴールだ。英国は強固な地位を築いていた欧州株取引を失いつつある」
 英証券取引大手アクイス・エクスチェンジの最高経営責任者(CEO)、アラスデア・ヘインズは米ブルームバーグテレビで断言した。同社では99.6%が仏パリの施設に流れた。
 前英首相のテリーザ・メイは2020年12月30日、議会下院で、英経済の8割を占めるサービス業が軽視された交渉結果を嘆いた。「18年、私は重要な金融分野で合意を得たいと訴えた。画期的なものになるはずが悲しくも実現しなかった。」

 ブレグジットが決まって以来日本のマスコミは上記のようなことばかりを報道し続けてきたのだが、不思議なことに現実のイギリス経済は壊滅的どころかとても良い状態が続いている。あくまでも数字の上でだが、マスコミの論調とは裏腹にとても良いとしか言いようのない状態が続いているのだ。昨年の夏頃からイギリス政府の経済発表はいつも良いのだ。GDPも良いし、消費者物価指数も良い。輸出も絶好調と言うことで、毎月発表される経済指標は全て前期比を上回っている、の繰り返しだ。
 数字を見る限り、イギリス経済はロックダウンの影響も受けていないし、EUとの離脱交渉の影響も新型コロナの感染者数増大の影響も全く受けていないとしか思えない。
 このために数ヶ月前には134円台をつけていたポンドはイギリス政府の経済発表を受ける形で値を上げ続け、年末には140円をつけた。この数字はコロナ前と同じだ。
 まさに、新型コロナの感染もブレグジットなどもどこ吹く風と言った感じだったが、年が明けて完全にEUとの離脱が成ると、ポンドは一気に買われ続け、ドルに対してもユーロに対しても円に対しても猛烈な勢いで値を上げ続けて、僅か10日程で142円をつけた。
 さすがに、142円を超えたところで足踏みを続けているが、今日14日時点ではポンドの価値が下がる気配は全くと言って良いほどにない。
 ポンドの価値を見る限りイギリス経済は絶好調で、ブレグジットも新型コロナの感染などの影響も全く受けていないかのようだ。
 要するに、EU離脱が決まった当初から日本のマスコミが言い続けていたこととは真逆のことが起きているのだ。
「イギリスのロックダウンは日本の緊急事態宣言よりもずっと厳しい。
 生活必需品を扱う店以外は原則閉店。飲食店は持ち帰りや宅配のみ営業が認められ、書店や家電店も開店はしているが、ネットで販売した品の受け渡しだけだ。
 仕事は在宅勤務が奨励され、市民は原則外出禁止。出歩けるのは食品の買い出しと家の近隣での運動、通院などに限られる。
 家族以外と公共の場で会うことも原則できない。違反すれば回数に応じて200〜6400ポンド(約2万8000〜約90万円)の罰金が科される。30人以上で集まる行為は特に厳しい。パーティーなどを開いたグループへの罰金は1万ポンド(約140万円)に上る。」
 所が、こうした厳しい規制が設けられているにもかかわらずイギリスの経済発表はいつも良いという発表ばかりなのだ。
 ほんとうにイギリス政府の発表に嘘がないのなら、新型コロナの感染者が爆発的に増大して、政府がロックダウンを繰り返していてもイギリス国民は政府から貰ったお金を使って普段以上に買い物をし続けている。これはポンドがドルに対してもユーロに対しても高値をつけ続けているので、輸入物価の下落と言うこともあって人々の消費意欲を駆り立てていると言うことがあるのだろう。
 消費者物価指数も毎月の発表が上昇を続け、インフレ率の上昇がポンドを支援するという流れが継続しているし、ベイリー英中銀総裁が景気回復に楽観的な見通しを示している。
 だからこそ、イギリス政府が人の動きを押さえようとしてロックダウンを繰り返しても、新型コロナの感染者は減らないどころか増え続けているのだろう。イギリス政府がいくら人々の動きを押さえようとしても国民は従わないで、夜遅くに大勢で集まってパーティをしたりして活発な経済活動を続け、それがGDPを押し上げると同時に新型コロナの感染の拡大につながっているという状況が続いているのだ。
 ロックダウンという罰則付きの強行策を政府が行っているにもかかわらず、なぜ感染者が減らないどころか増え続けるのかが疑問だったのだが、イギリス人というのは政府の指示に従いたくないらしい。
 こうしたヨーロッパ人の体制に従わないという気風が新型コロナの悪影響を吹き飛ばし、ブレグジットの悪影響などどこの国の話しなのか、といった感じになってしまっている原因なのだろう。

 イギリスの若者たちも当初からブレグジットには大反対だった。その理由は、イギリスがEUから離脱したらイギリス経済はとんでもないことになると思ったからだろう。所が、EU離脱ばかりか予想もしなかった新型コロナの感染者が爆発的に増え、死者が激増するというとんでもない状況が重なってしまったというのに、現時点では当初の予想とは真逆のことが起こっている。
 はたして、これは事実なのか。イギリス政府の発表はほんとうなのか、という思いもあるが、ロシアや中国ならまだしもイギリス政府が嘘の経済発表をするとは思えない。
 また、世界中の投資家がイギリス政府の嘘を鵜呑みにしてポンドを買いまくっていると言うことも考えにくい。それとも世界の巨額のマネーを扱っている投資家たちが気が狂っているのか。
 ただ、こうしたイギリスだけが毎回経済発表が前期と比べて良いという状態がいつまでも続くのか。その結果ポンドは際限もなく値を上げて行くという状態になっているが、こんなことがいつまでも続くのか、と言うことがある。
 もしかして、これはブレグジットによるバブルなのではないのか。
 もし、バブルであればいつかははじけることになるが、バブルではなくこうした状態がある程度は続くという可能性もなくもない。
 いったいバブルなのか、それともバブルでないのかは、数ヶ月以内にはわかるだろうが、日本のマスコミの言うこともまるっきりの嘘ではないはずなので、日本のマスコミが懸念し続けていることが表面化すれば、その時こそイギリス経済のバブルがはじける時だろう。









ご意見等がありましたら下記にどうぞ




 話がおもしろい、または、ためになったと思われた方は下の画像をクリックしてください。
 勿論、購入するかどうかはあなたの判断です。