ベトナム人技能実習生の実態3




2021.1.12.


 今年の2月、会社と管理団体に対して、当局から技能実習法違反による処分が下った。
 会社は計画以外の労働をさせたとして、5年間の技能実習生の受け入れ停止。管理団体は会社の監査を適切に行っていなかったことと、入国後の講習などを行っていなかったことで認可を取り消された。

 30年近く続けられてきた外国人技能実習制度、これまでも労働基準法違反の時間外労働やパスポートの取り上げなど度々問題が起こってきた。この結果失踪する人は年間1万人近く、労働基準監督署の指導では7割以上の事業所で法令違反が見つかっている。なぜ管理団体での指導監督は機能しないのか。
 神戸大学 斉藤善久准教授の話し
「労働力の斡旋供給と管理監督の両方の役割を果たすのが管理団体の役割で、その役割を果たすために管理団体は非営利団体であることを要すると言うことになっていますが、管理団体からすると、各企業というのはビジネスパートナーであったり、お客さんでもあるわけですから、どうしても強く言えないと言うことがあります。そもそも技能実習制度というのは、国際貢献を建前にする国策なんですけど、実際には民間に丸投げで動いているシステムなんですよね。」
 技能実習制度が生まれるきっかけは、1980年代後半バブル経済にあった。空前の好景気で人件費が高騰。人手不足を理由にした倒産が相次ぐなど労働力不足が深刻化していた。同時に不法滞在の外国人が単純作業を補うという問題も起きていた。そこで国は次々と規制緩和策を打ち出す。研修生という新たな在留資格を創設。1年間に限り、外国人が実務研修の名目で働けるようにした。国は、この制度を更に拡充。1993年外国人技能実習制度が誕生する。研修を終えた後も技能を学ぶ場を認めたのだ。
「外国人研修生の受け入れ事業と言うことで国際貢献を果たしたい。」
 目的として掲げられたのは、途上国の人材育成を担う国際貢献だ。
 当時労働省海外協力課に所属していた南本禎亮の話し
「単純労働の分野に不法という形で就労されると法治国家としてはまずいんじゃないかと。先進国日本として、技術、技能の先進国として、沢山いらっしゃる外国の方に日本式の技能習得の機会を与えると、途上国から来る方も、お金儲けのために制度を作ったわけじゃありませんよと。皆さん方が将来母国に帰られて就業される、起業される、母国のためになると言う意味で、お役に立つんじゃないかと提案をしているわけですから、」
 いかにも役人らしい建前を述べている。人手が足りなくて困ったあげくに導入した制度であることを百も承知の上で、ぬけぬけとこうした詭弁を弄するのは、いかにもお役人といった印象しかない。
 制度の目的はあくまで途上国の人作り、法律にも技能実習は労働需給の調整に使ってはならないと明記されている。しかし、実情としては技能実習生を労働力として頼らざるを得ない。そう話すのは実習生の異存を高めてきた繊維産業をまとめる業界団体だ。
 日本繊維産業連盟事務総長 富吉賢一の話し
「日本人が雇えないような状況ですので、その中で、まあ、実質的には(外国人技能実習正が)貴重な労働力と言えると思います。実際には、技能実習というのは本来は労働力ではないのですけれども、今は技能実習生が居なくなったら即座に生産が止まって成り立たなくなる企業が非常に多いと思います。繊維産業が中心に立地しているのは大都市圏ではない。大都市圏ではないところほど今、急速に人口が減少し、かつ高齢化をしている中で、もう、雇える人がいなくなっていまして、その中で生産を続けていかなければならないとなると、当然省力化投資はしていくのですけど、完全に人を無くしてしまうわけにはいかないので、どうしても何らかの形で人を雇うとなると外国人という選択肢しか残っていないと思うのですね。その時に外国人を確保する制度として技能実習制度しかなかった。それで技能実習生を活用したというのが実態だと思います。」
 繊維業界では9割の企業が従業員10人以下の零細企業だ。長年に渡る円高の影響。中国や東南アジア諸国との激しい国際競争にさらされ、廃業をする企業が相次いできた。
 制度開始以来技能実習正の数は増え続け、今や41万人。働ける職種は当初の17職種から82職種に増加。農業、漁業、建設から金属加工など様々な分野で日本社会に欠かせない存在になっている。
 国際貢献という理念と現実とのズレ、その理由を制度に深く関わってきた官僚が匿名を条件に話してくれた。
「やっぱり日本人をそこで働かせるよりも(賃金は)すごい安いわけですよ。結果としてある種「人的補助金」というか、まあ、中小企業の一番困っている人手と言うところを供給している制度なのではないですかね。単純労働者を移民として受け入れることについて、輿論としてはすごく否定的だったわけですし、技能実習というのは、実習期間を終えたら(母国に)帰ると言うことで移民という議論に踏み込まない形で人をどうやって、労働力を受け入れようかという所の工夫の中で出来た制度だと思います。」
「民間に丸投げをしている?」
「いろんな間接的なところに任せたりとか、まあ、そうやって技能実習生が自分で投資することに任せたりとかそういうことによって、行政コストが全然かかっていないんですよ。血税を突っ込んで中小企業をそこまで支援するつもりは無いと言うことですよね。」

 結局は、外国人技能実習制度と言うが、実体は日本人が決して働きたくないような劣悪な職場環境で、安くこき使うための制度であることは誰の目にも明らかなことだ。
 それにしてもこんな人権無視の制度をよく考えたものだと思うが、政治屋も役人どももほんとうに恥知らずな輩ばかりだと言わざるを得ない。

*放送されたのが2020年なので、今年というのは放送された時点でのこと。










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