ブレグジットの最終章




2020.10.15.


 日本のマスコミは、アメリカの大統領選挙ばかりを報道しているが、今現在EUとイギリスの分離騒動の最終章が繰り広げられている。いわゆるブレグジットなのだが、英国は1月末にEUから離脱したのち、今年末までは移行期間として従来と同じルールで、イギリスとEU間の貿易は関税ゼロが続いている。移行期間が切れる今年末までに自由貿易協定(FTA)を結ばなければ、年明けから関税がかかり貿易などに大きな影響が出ることが懸念されている。
 それなのに、ジョンソン首相は10月15日のEU首脳会議までに合意に達しなければ、交渉を打ち切ることを表明し、EUに揺さぶりをかけている。
 ブレグジットの当初から日本のマスコミや経済の専門家と称する人々は、イギリスがEUから離脱したら経済は壊滅状態になると警告を続けていた。
 彼らの言うことが本当なのであれば、まさに今や土壇場で、イギリスは大変な窮地に追い込まれていると言うことになる。
 所が、ジョンソン首相は強気そのもので、交渉期限を今日(15日)に設定して、この日を過ぎたらEUとの交渉は行わないと明言をしていたのだ。
 そして、その期限の日が来たのだが、一応EUの会議が15、16と2日間にわたって行われるので、その結果を見守るとした。
「英国やEUの経済界は、危機意識を強めている。欧州自動車工業会(ACEA)や英自動車工業会(SMMT)など欧州の自動車関連の団体は9月、英EUの通商交渉が決裂した場合、25年までに1100億ユーロ(約13兆6400億円)の損失が生じるとの試算を公表した。
ジョンソン首相は10月15日までに結論が出なければ、合意なき離脱をいとわないことを明言している。「FTAなし」ならば、新型コロナの感染拡大で深い傷を負った英国経済はさらに混迷し、ジョンソン政権の致命傷になるだろう。」
 日本のマスコミの論調としては、こうしたものが殆どなのだが、こうした論調とは合わないものがある。それはポンドの価値だ。
 イギリス経済が酷い状態になっているとマスコミ各社がこぞって言っているのに、なぜかイギリスの通貨であるポンドの価値は下がらない。
 コロナ以前と比べても、ユーロは135円前後で推移していたのが123円と12円も落ちている。ドルでさえ110円前後だったものが105円台と5円も価値を落としているのに、ポンドはコロナ前には140円前後で推移していたのが、137円とたった3円しか価値を落としていないのだ。
 マスコミの言うように、イギリス経済がコロナとブレグジットによってぼろぼろの状態にあるのならば、当然ポンドの価値は暴落状態に無いとおかしい。
 こうしたことからマスコミが言っていることと、世界の投資家たちが考えていることは全く違っているとしか思えない。
 個人的な見解を言うと、EUとイギリスとのFTAが結べなくなって一番困るのは、EUであってイギリスでは無いと言うことなのだ。
 なぜか。EUとイギリスの貿易では、EUの大黒字でイギリスの大赤字という状態だからなのだ。その中でドイツとフランスが大きな黒字を得ている。要するに、イギリスはドイツやフランスのお客さんという状態になっている。そのお客さんが離れていくと言っているのだ。FTAが結べなくなった結果、10%の関税が自動的につくようになって困るのはEUだと言うことなので、だからこそジョンソン英首相は強気なのだ。
 EUからイギリスはほしいものが買えなくなって困るのでは、と言うこともあるかも知れないが、ブレグジットが決まった当初からイギリスは、離脱後は英連邦からの輸出入を増やすと明言している。そして英連邦だけでは賄いきれないものについてはアメリカや日本などから購入すれば良いと言う考えで、早々と日本とはFTAを結んでいる。
 まさに、着々と手は打っていると言うことなのだ。
 当たり前だが、イギリスの思惑通りに全てが順調に進むかはきわめて懐疑的ではある。だが、世界の投資家たちは、このイギリスの対応を評価しているものと思われる。
 さらに言えば、こうしたこと以外にも様々な問題があるし、個別の商品については個々によって違うだろうし、自由経済なのだから個々の事業者によっては全く違う見解を持っているところも多々あるだろう。だが、そうした個別のことを言い始めたらきりが無い。だいたいおおざっぱな言い方をすれば、上記のようなものになると言うことなのだ。









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