北朝鮮からのミサイル脅威論




2020.08.30.


 戦後日本が戦争によって国際紛争を解決する手段を放棄し、この結果平和を謳歌し繁栄することができたのだが、そのことで戦争の危険を軽視した楽天的な防衛論が台頭するようになった。いわゆる平和惚けという奴だが、その一つとして北朝鮮の弾道ミサイルの脅威に対処するために、北朝鮮のミサイル基地を攻撃する能力を持つべきだとする敵基地攻撃論が自民党内で活発になってきた。
 トランプが北朝鮮の脅威に関心を示さなくなったというのに、日本では相も変わらず北朝鮮からのミサイル脅威論が活発に続けられている。
 しかし、北朝鮮がアメリカや日本をミサイル攻撃をすることが、彼らにとってどのようなメリットがあるというのだろうか。
 トランプ政権はこのことに気がついたらしく、アメリカにまで届くミサイルを北朝鮮が開発したにもかかわらず、北朝鮮との交渉を止めてしまったが、日本ではイージス・アショアを止めるのであれば代わりの防衛体制が必要だと言うことになり、馬鹿なマスコミに煽られる形で敵の基地を直接叩くということが自民党政権の間でもてはやされるようになった。
 だが、普通の頭を持っていれば、そしてマスコミの報道を見ていれば敵の基地を直接叩くなどと言うことが出来るはずも無いと言うことくらいのことはわかるはずだ。
 北朝鮮のミサイル基地は、山をくりぬいたトンネルの中に造られているので、これを叩くとなったら先制攻撃では無く、北朝鮮に侵攻しない限りできるはずがない。
 言うまでもないことだが、北朝鮮が何もしていない段階で自衛隊が北朝鮮に侵攻するなどと言ったことは、憲法9条を削除しない限りできないが、安部が長年夢見てきても結局憲法9条を消すことはできないままだ。
 それなのに、北朝鮮のミサイル基地を先に叩くなどと言う現実離れをしたことを、当たり前のような顔で言う。
 自民党の政治屋たちは、いったい何を考えているのかとしか言いようがないのだが、こうした先制攻撃態勢を構築しようとすれば巨額の費用が必要となるわけで、自民党の政治屋どもは日本の財政がいかに悲惨なことになろうとも気にもかけていないとしか思えない。しかしながら、自民党の政治屋どもが無駄に使った巨額の債務は、孫子の世代にわたって返していかなければならないのだ。
 そもそも北朝鮮がアメリカはもちろんだが、日本にミサイルを撃ち込むということは壊滅的なリスクを生むことになる。もし、北朝鮮が日本にミサイルを撃ち込んだら、直ちに日米安全保障条約が機能して、北朝鮮の数キロトンの水爆では無く、アメリカの数メガトンという桁違いの破壊力がある水爆が北朝鮮の首都である平壌に落とされることになり、平壌は長崎広島の比では無い悲惨な状況になることは確実だ。
 何もしなければ、金正恩は皇帝のような権力を維持したまま好き勝手なことが出来るのに、日本やアメリカにミサイルを撃ち込んだとたんに死に直面することになる。まあ、アメリカの水爆で死ななかったとしても北朝鮮に侵攻した米軍か、北朝鮮の虐げられ抑圧され続けてきた庶民によって1ヶ月以内には確実に殺されるだろう。
 中国にしても、日本が攻撃もしていないのに日本にミサイルを撃ち込んだと言うことになれば、朝鮮戦争の時のように北朝鮮と一緒になって日米と戦うなどと言うことはしないに決まっている。
 日中の貿易量は朝鮮戦争の時とは比較にならないくらいに増えていて、両国にとってとても重要な関係にあるというのに、理由も無く日本にミサイルを撃ち込むような暴挙を行った北朝鮮の肩を持って、日米と戦うなどと言うことは、利害関係という観点からもあり得ないからだ。
 金正恩だって、そのくらいのことはわかっているに決まっている。ミサイルを他国に撃ち込むというのは、他国の軍隊が北朝鮮に侵攻して、自分の命に関わるような重大事が起きない限りするはずが無いのだ。
 北朝鮮自身、ミサイル開発はあくまでも金王朝を維持するためであって、外国勢力が攻めてきたらミサイルを対抗手段として使うと言っているのだ。それなのに、どうして北朝鮮からのミサイル脅威論が自民党の政治屋達と馬鹿なマスコミから絶えることが無いのだろうか。









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