ベトナム人技能実習生の実態2


2020.11.17

前回の続き
ベトナム人による家畜の窃盗や果物を盗むという犯罪行為が問題になっているが、勿論、人の物を盗むのは悪いに決まっている。しかしながら、日本政府や日本企業による外国人技能実習生からの搾取といったことも現実にあるわけで、こうしたことをことあるごとにマスコミや議会で指摘されながら無視をし続けてきた自民党政府にも大きな責任があると思う。
また、外国人技能実習生の犯罪を誘発するような悪質きわまりないことを長年続けてきた企業や団体も同罪と言えるだろう。
さらには、こうしたものに関連する法律を作った役人や議員たちすらも予想もしなかったであろうと思われるとんでもない利権が、日本とベトナム双方の関係機関によって作られ、貧しい暮らしをしているベトナム人技能実習生を食い物にしているという実態がある。

縫製工場を経営するという管理団体の男の話
「僕らは瑕疵も何もないですから、きちっと応えます。僕は。」
NHKの担当者
「作業報告書を残っている分だけで計算すると、過労死ラインの倍近く働いていて、これは命の問題であると。」
管理団体
「僕もたまに行きますけど、行った時に「なんか問題ない?」と、するとみんな「大丈夫です」という感じですよね。行った時に研修生達から「私達は無理やり残業をさせられます」とかっていうことがあるなら、それはきちっと指導もするし、是正もします。」
NHKの担当者
「僕らは歴代の実習生達を取材して番組を作っているんですけど、みんなここ(管理団体)の職員に訴えたと言っているんですが、管理団体の人達は「みんな我慢しているんだから我慢しなさい」と言われたと言っているんですが。」
管理団体
「それは少なくとも僕は直接聞いたことはないです」

技能実習制度では、どのような技能を学ぶか事前に計画書を造り、細かく決めることになっている。今回のケースでは婦人子供服の縫製や仕上げだった。しかし、
技能実習生のティエンさん
「実際は全く違いました。日本に来てからタオルしか作ったことがありません。管理団体の人にこう言われていました。「誰かに何を作っているのかと聞かれたら、必ず婦人服や子供服と答えてください。」
工場の社長は、タオルだけではなく洋服も作っていたと主張をしている。
管理団体はどのように認識をしていたのか。
NHKの担当者
「管理団体としては婦人子供服を縫っているという認識だった?」
管理団体
「はい、そうです。じゃなかったら、僕らも認可する方向で書類は出しません。それはあたりまえでしょ。そうじゃないんですか。」
NHKの担当者
「僕らはあそこに1週間くらいずっと張り付いて見ていたんですけれど、トラックに運ばれてくるものは全てタオルで、」
管理団体
「タオルからどんどんいろいろと加工しますからね。それがその会社から出てどういう風に加工されるかっていうのはわからないですしね。僕らは、少なくとも監査している範疇の中で監査に行って出てくる書類で、当然行くたびに研修生達とも話をしますし、法律に基づいて全てきちっと行われているという認識で物事は進めています。」

シェルターで保護された実習生たちは、ボランティアの講師から日本語を学ぶようになった。
本来であれば来日した際に管理団体によって日本語や暮らし方のマナーと言ったことを1ヶ月ほどにわたって受けるはずだった。しかし、こうした講習を受けたことは殆ど無かったという。

もちろん、ベトナムでの送り出し機関でも日本語の講習などは行われているのだが、私もダナンにある送り出し機関に行ったことがある。私の行ったダナンの送り出し機関は、韓国との提携機関で本来は韓国語を勉強する学校のように見えたが、いくつかある校舎の1つが日本語教室になっていた。校舎内のありとあらゆる表示が全て日本語になっていて、その校舎だけが日本の学校の校舎そのままだった。そして、教室内からは大声で日本語の単語の発生をしている様子があちらこちらから聞こえてきた。
おそらく、韓国語を教えるよりも日本語を教えて、生徒を実習生として日本に送り出した方が儲かると言うことなのだろう。

所が、この今治に派遣された人達はベトナム日本の双方から、当然受けられるべき最低限の日本語の講習すらも受けられていなかったと言うことのようなのだ。
管理団体は講習は実施していたと回答した。
この件に対して、会社が実習生に対して念押しをする音声が残っていた。
「もう一回しつこく言うんだけど、もし、国の人が来て聞かれたら、研修期間1ヶ月間はここからいつも通っていた。8時半から5時半まで勉強していました。毎日。毎日行っていたと言うことが大事だから。」
別の社員
「1ヶ月、研修の1ヶ月ね。これは皆さん仕事をしていません。毎日組合(管理団体)に行きます。で帰ります。これでお願いします。これは組合(管理団体)が潰れますから、これは絶対。ok?お願いします。」
このことについて会社に取材を申し込んだが、応じてはもらえなかった。
その後実習生が記録した様々な証拠を基に、複数回にわたって役所の調査が行われた。
実習生の話
「社長は役所の調査が入るからタオルを全部隠すように指示しました。今日はタオルを作らないように言われています。代わりに服を作るふりをするように指示がありました。会社は急いで資料を隠しています。」
この後役所の人が訪ねてくるようすがビデオに映っていた。
「こんにちは、技能実習機構のものです。お話のほういいですかね。」
この後社長が登場
「社長さんに話してもらいましょう。」

このように元々の実習制度がひどくいい加減な物なのに、その最低限のことすら守ろうとしないで、自分たちの利益のためには、外国人技能実習生を奴隷のように使って何も感じないという日本人経営者があまりにも多いと言うことなのだ。何しろ、7割を超える企業が技能実習生を、法に違反して働かせているという現実がある。そしてこうした状況になることは、最初にこの技能実習制度の法案が国会に出された時点で、野党議員から指摘されていたことでもあるのだ。

また長くなったので、続きは次回に。


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